薬学部_学部ガイド2025
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 現代医療で使用されている医薬品の多くは有機化合物であり、新しく合成された化合物です。薬化学研究室では、特徴ある構造と生物活性を有する化合物の分子設計および合成に関する研究を目的とした有機合成化学の基礎的研究を行っています。すなわち、炭素、窒素、酸素など少なくとも2種類の異なる元素を含む環式化合物であるヘテロ環化合物の新規合成、また、それら合成化合物の悪性腫瘍や真菌に対する増殖抑制効果などの生物学的評価を行い、創薬を指向したリード化合物の創製に関する研究を進めています。 分析化学は、化学系、生物系、医療系を含む全ての薬学領域における「縁の下の力持ち」的な学問とされています。どのような計測機器を用いても、測定値(分析結果)が正しくなければ、新しい薬物を創り出すことはおろか、既存の医薬品を有効に活用することもできません。私たちは、生体成分や医薬品、環境汚染物質などをできるだけ簡単に、そして正確に分析するための方法論を開発することで、薬学・医療の向上のために寄与しています。 遺伝情報発現制御の実行プログラムを理解することは、さまざまな生命現象の分子メカニズムを解明するために必要です。特に転写活性化・不活性化のperformerである転写調節因子群の機能は、発生・分化、内分泌、脳機能などの高次生命現象のみならず、がん、生活習慣病などの病態にも関わってきます。本研究室では、このような概念を根幹に据えて、組織あるいは時期特異的に転写活性を制御する因子、シグナル伝達分子の作用メカニズムなどに関する研究を行っています。 本研究室は、医療に直結した創薬と臨床薬剤師養成を目指しています。認知症やうつ病などの精神疾患の漢方治療の薬理学的エビデンスの構築「漢方を科学する」を目指して、行動薬理学を基盤に生理学的、分子生物学的手法を積極的に取り入れて研究を行っています。さらにはiPS細胞を駆使した難治性疾患の発症機序研究、グリア創薬を目指した研究を行っています。 臨床の現場で活躍する薬剤師には、患者さんの治療に向けて医師、看護師やコメディカルと強く連携することが求められます。そこで、本研究室では感染症やがんなどの基礎研究を通じて疾患の病態の理解力を養うとともに、実験立案や結果報告を経験することでプレゼンテーション能力や討論力を育成します。また研究室内での日常生活を介して積極的で責任感のある人間形成を目指しています。 私たちの研究室では、触媒反応開発、機能性化合物創出、創薬という3つの研究テーマに取り組んでいます。有機化学を基盤として、触媒反応開発研究では有機金属触媒反応や配位子設計などを、機能性化合物創出研究では包接化合物や多環性複素環化合物の合成などを、創薬研究では抗菌、抗ウイルス、および抗腫瘍候補化合物の探索などを行っています。配属学生と共に化学構造式と向き合いながら日々研究を行っています。 薬を服用してから効果が表れるまでには、薬と私たちの体との間でさまざまな反応が起こります。その反応を詳しく調べることで、より良い効果を示す薬や副作用の少ない薬を開発することができます。本研究室では、薬に関して医療や介護の現場で問題となっていることを解決するために実験ならびにコンピュータによる分子シミュレーションを行っています。 衛生化学は、さまざまな病気や有害化学物質などから“生(健康)”を“衛”るための学問です。私たちの研究室ではこのことを念頭に、生活習慣病の発症メカニズムを遺伝子レベルで明確にするために研究しています。これらの研究で生活習慣病の発症や悪化に関連している遺伝子・タンパクを見つけ、それらを創薬研究に役立てることで人々の健康な生活を“衛”りたいと考えています。 本研究室は、大麻の有害作用と医療応用、抗癌剤の副作用、新生児および成人の脳血管障害、蛋白質ミスフォールディング病について行動薬理学、神経科学、分子生物学的手法を用いて、病態の解明および創薬開発に向けた研究を行っています。研究は、問題解決能力、判断力、自立力を高めるための方法として最適です。研究課題を通して、新しい発見に挑み、研究の分かる薬剤師を目指しませんか。 多くの研究努力の結果生まれた「薬」は、患者さんが服用してはじめてその役割を果たします。それは「医療者」と「患者さん」という、人と人とのコミュニケーションの中で実現します。そしてこの段階で大きな役割を果たすのが「薬剤師」です。本研究室は、この臨床的場面をさらに優れたものにすることを研究の目的としています。 薬学部では3年次後期から研究室配属となり、卒業研究を進めることになります。 特色ある研究室と附属施設を紹介します。 医学が「治療」から「予防」へと転換期を迎えつつある現在、天然薬物への関心が高まりつつあります。また新薬開発の先導(リード)化合物としての価値も増しています。天然薬物の中心は植物成分(フィトケミカル)ですので、生薬学研究室では、古来、受け継いできた自然からの恩恵に対し、主に植物化学的、細胞薬理学的側面からアプローチすることを目的として研究を進めています。 病気を見つけるためにはどうすればよいのでしょうか?医療の現場では、適切な治療を行うため、正確な診断を行うことが求められます。私たちの研究室では、その診断を行う、あるいはそれを行うための方法や技術を考案したり、開発したりすることを目的とした研究を行っています。実際には、方法論の開発という基礎的な研究内容が多い場合がありますが、それに留まることなく、開発した方法を臨床的に応用させるなど、薬学や医療分野に常に貢献できることを目指して研究を行っています。 エイズ・マラリア・結核をはじめとする多くの感染症の克服は、21世紀に持ち越された医学・薬学の重要な課題です。感染症の予防・治療を目的とした新たな手段と戦略の開発が必要とされています。私たちは、近年進歩の著しい分子生物学手法を用いたアプローチによって、新たな微生物の機能を理解し、創薬による感染症克服へ向けて、日々研究を行っています。薬化学研究室薬品分析学研究室生化学研究室臨床疾患薬理学研究室免疫・分子治療学研究室医薬品化学研究室薬品物理化学研究室衛生化学研究室生体機能制御学研究室臨床薬物治療学研究室生薬学研究室臨床分析科学研究室微生物薬品化学研究室10化学系物理学系生物学・衛生学系薬理学系研究室・附属施設

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