●未来の状態が見える、遠くの様子がわかる。などなど……2Check仙葉教授の卒業研究佐藤教授の卒業研究微分方程式 卒業研究で扱うテーマは多岐に渡ります。楕円曲線、超越数、代数曲線、abc予想、ガロア理論・・・。一つテーマを選んでゼミをするわけですが、具体的には何をするかというと、通常の講義とは逆で、学生が教える側となって、毎回勉強したことを発表してもらいます。私(教員)は教わる側にまわって、無邪気に質問をぶつけていきます。数学の成績が良い、という事実は案外アテにならなくて、ゼミを通じて、初めて、「数学を理解している」ということがある程度判断出来る、と私は思っています。 数学は大雑把に、代数学、幾何学、解析学の三つの領域に分かれますが、私のゼミで扱うのは代数学周辺の話題です。中学、高校の内容で言うと、一次方程式や二次方程式辺りが代数学の範疇に入っています。 それでは、大学に入学して、三次、四次、五次と、どんどん次数を上げていって、方程式を死ぬまで勉強するのか? なんだか単調でつまらなそうな世界だなぁ、と考えるかもしれませんが、そんなことはありません。 方程式が「解ける」ということをちゃんと考えると、三次方程式、四次方程式が二次方程式と同様に「解ける」ことが分かります。しかし、五次方程式はもはや一般には「解けない」ことも分かります。数学の世界は決して単調ではなく、不思議で面白いことがたくさんあることの一例です。この辺りの内容はガロア理論と言って、大学三年生あたりで勉強します。● たき火に手をかざすと暖かくなる ・・・熱が伝わる● 遠くのお寺の鐘の音が聞こえる ・・・・音が伝わる● 浜辺に椰子の実が流れ着く ・・・・・・海流が流れる これらの「変化する現象」自体は物理学の範疇ですが、それらの法則は「微分方程式」という数学の言葉を用いて記述されます。 微分方程式の解を求めたり解の性質を調べることで、様々な現象が詳しく調べられるだけでなく、そこに美しい数学的調和の世界を発見することができます。理論的な考察、コンピュータによる数値計算などいろいろな手法の交錯する広い研究分野です。 私の卒業研究では、熱伝導や波動現象などを記述する微分方程式について、解の求め方、その性質、コンピュータグラフィックスなど、いろいろな観点から詳しく調べていきます。などなど…理論的考察で解くコンピュータシミュレーションで解く133次方程式の解の公式微分方程式を解くと…方程式が「解けない」って・・・?私たちの身の回りは「変化するもの」に満ちています。卒業研究紹介
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